父の介護が本格的になると、介護サービスとの契約や収入・支出の把握、
入院や施設への入居に伴う荷物の整理など、
さまざまなことを一つずつ確認する必要が出てきました。
書類や金銭的なことは、1年ほどかけて確認していったので、
ある程度整理することができました。
でも、物の整理はそう簡単にはいきませんでした。

以前から少しずつ整理しておいたほうがいいと伝えていましたが、
父は「俺が死んでから片付けてくれ」という人でした。
本人にとっては、まだ必要なものもあり、思い出のあるものもある。
私がいくら整理を勧めても、簡単に手放せるものではなかったのだと思います。
それでも、入院するたびに少しずつ整理することになりました。
明らかにゴミになっているもの。
長い年月の間に劣化して、もう使えなくなっているもの。
そうしたものから処分していきました。

それでも、父が亡くなった後に残ったものは、それなりの量でした。
そこから本格的な整理が始まりました。
一つひとつ手に取ってみると、父にとっては大切だったのだろうと思うものもたくさんあります。


父が大切にしていたもののひとつ
15個もありましたが、押し入れの中にしまわれていました
金銭的な価値があるものばかりではありません。
昔から使っていたもの。
思い出のあるもの。
本人にしか分からない思い入れがあるもの。
けれど、そうしたものの中には、引き取りたいと思う人がいないものもありました。
結局、処分するしかない。
それが、少し寂しく感じられました。
本人にとっては、確かに価値のあるものだったはずです。
本人の中にあるからこそ価値がある。
でも本人がいなくなれば、その価値を共有できる人がいないものもある。
当たり前のことなのかもしれませんが、父の持ち物を整理する中で、それを実感しました。
そして、いつか自分も同じ立場になるのだと思いました。
私にとっては大切なものでも、私がいなくなった後、それを欲しいと思う人がいるとは限りません。
そう考えると、これからは生活に必要なものをむやみに増やさず、
大切なものも少しずつ厳選していきたいと思うようになりました。

もし、誰かに譲れるものがあるのなら、自分が元気なうちに譲っておく。
自分がその価値を伝えられるうちに、次の人へ渡していく。
物を減らすことだけが目的ではありません。
残された人に、できるだけ負担を残さないこと。
そして、自分にとって本当に大切なものを、自分自身が分かっていること。
父の持ち物を整理した経験は、これからの自分の暮らしを考えるきっかけにもなりました。
物は持っている間だけではなく、手放すときのことまで考えて選ぶ。
そんな物との付き合い方を、これから少しずつ考えていきたいと思っています。

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